資源開発を巡る各国の状況②  ~UAE~

資源開発PT 弁護士 北村 尚弘
(センチュリー法律事務所)

 日本では、2021年6月15日に、宇宙資源法が制定され、話題となったが、他国の状況はどうなっているのであろうか。宇宙資源に関する法律を定めているのは、日本のほかは、アメリカ、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(以下「UAE」という。)の3か国があるが、それぞれに特徴・違いがある。
 そこで、本稿では、2019年12月19日にUAEにおいて成立した、「Federal Law No.12 of 2019 ON THE REGULATION OF THE SPACE SECTOR」(以下「UAE宇宙分野規制法」という。)について、資源開発の文脈に限定のうえ、ご紹介したい。

 まず、UAE宇宙分野規制法は、以下に掲げる事項を目的として、宇宙分野の規制に関する体制整備を目的としている(同法2条)。

  • 宇宙分野に対する投資を促進し、民間の参入を奨励すること
  • 宇宙開発の長期的安定性及び持続可能性を向上させるために必要な施策の実施を支援すること
  • UAEが加盟する宇宙条約等を実施するにあたっての透明性の原則及びUAEの寄与を支援すること

 そのうえで、UAE宇宙分野規制法では、以下に掲げる活動を規制している(同法4条)。以下をご覧頂ければお分かりのとおり、法律の名称のとおり、様々な宇宙活動について、幅広く規制対象としている点が特徴的である。

  • 打上げ
  • 再突入
  • 宇宙物体を軌道から除去し又は廃棄すること
  • 打上げ施設又は再突入の運営
  • 宇宙物体の運営
  • 衛星通信活動
  • 宇宙航行、リモートセンシング又は地球観測活動
  • 宇宙認識活動(宇宙物体の監視及び追跡を含む)
  • 宇宙資源の探査又は採取の活動
  • 科学、商業その他の目的のために宇宙資源を開拓し又は使用する活動
  • 宇宙空間における物流支援事業の実施
  • 有人宇宙飛行、宇宙における人の長期居住又は宇宙若しくは天体の表面における永久的若しくは一時的な施設の構築若しくは使用
  • 宇宙技術の製造、組立、完成、開発、試験、運搬、保管、取引又は廃棄
  • 宇宙データ管理の活動
  • UAEの領土に落下した隕石を収集又は取引すること

このうち、資源開発に関わるものとしては、

  1. 宇宙資源の探査又は採取の活動
  2. 科学、商業その他の目的のために宇宙資源を開拓し又は使用する活動
  3. UAEの領土に落下した隕石を収集又は取引すること

の3つが挙げられる。

 1・2については、宇宙資源の探査・開発・使用のための許認可等に関する条件及び規制は、閣僚理事会の決定によるものとされており(同法18条1項)、UAE宇宙分野規制法のみではその詳細は明らかではない。なお、違反した場合には、2年以下の拘禁刑及び/又は10万ディルハム(約300万円)以上1,000万ディルハム(約3億円)以下の罰金刑となる(同法39条)。

 3については、UAE宇宙機関が隕石のための登録簿を作成するものとされており(同法30条1項)、隕石を保有している者は当該登録簿にそれを記録しなければならず(同条4項)、UAE宇宙機関の承認がない限り、隕石の販売等の取引は禁止される(同条6項)。なお、違反した場合には、20万ディルハム(約600万円)以下の罰金刑となる(同法44条)。
 ここで興味深いのは、UAEは7つの首長国からなる連邦制国家であることから、首長国間の利害調整にも配慮されている点であり、UAEの領域に落下する隕石は、それが落下した首長国の所有物となるとされているほか(同条2項)、隕石が首長国間の共有の国境に落ちた場合、又は複数の首長国に顕著な影響を与える場合には、隕石はUAEの所有物となるとされている(同条3項)。

 なお、日本の宇宙資源法では、「宇宙資源」を「月その他の天体を含む宇宙空間に存在する水、鉱物その他の天然資源」と定義しており、微生物や植物等の生命体を含むのかは必ずしも明確ではない。これに対し、UAE宇宙分野規制法では、アメリカ法と同様に、「宇宙資源」を「宇宙空間に存在する非生物資源(鉱物や水を含む)」と定義しており、生物資源が除外されている点が特徴といえる。

 また、資源開発については、2020年10月に、アメリカを中心に、「アルテミス合意」が署名されているが、UAE宇宙分野規制法は、その約8か月前に成立しているという点も特徴的である。

 もっとも、前述のとおり、UAE宇宙分野規制法では、宇宙資源の探査・開発・使用のための許認可等に関する条件及び規制は、閣僚理事会の決定によるものとされていることから、今後は、UAE政府の動向を注視する必要がある。

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